別冊麻生ナビ マチ歩きブック 歩らいぶ 麻生のステキな仕事人 焼鳥・もつ焼のお店 銀泉 佐藤 博延さん・合鍵と靴・傘の修理の店 リペア 一林 正志さん・熱烈!麻生応援ウーマン 喜多洋子さんのインタビュー

「子どもたちにとって運動は礼儀や作法、目標達成の喜びといった人間性を養うものでもあるんです」

スタジオヒグチ
樋口 敬勇さん

運動が心に働く、大切な時間を。

「足をゆっくり上げて~」「上体を起こして!」。スタジオヒグチのレッスンスタジオに元気な声がこだまする。運動指導にあたっているのは代表の樋口敬勇さん。〝運動を通して心を満たす〞をテーマに、麻生のまちでフィットネスやヨガ、エアロビックなどのレッスンを続けて12年目だ。

樋口さんはもともとエアロビック競技選手。よくイメージされる女性向けのエクササイズとは異なり、軽快な音楽に合わせて力強いステップを踏み、時に片手で自重を支えるポーズもとるようなハードなスポーツだ。樋口さんは、16年連続で北海道地区代表選手に選ばれた実力の持ち主で、世界大会にも出場した経験がある。

樋口さんのトレーニング風景

自身のトレーニングも欠かしません

樋口さんの指導風景

体幹を鍛えるための腹筋の指導中

「以前はフリーインストラクターとして活動しながら、空いた時間にエアロビックのトレーニングに励んでいました。けれど、世界大会を戦うには練習量不足。このスタジオを立ち上げた当初は、エアロビックに集中できる場所を確保したいって思いが強かったんです」

が、いつしか樋口さんの心境には変化が芽生えてきた。後進の育成。エアロビックの普及活動。レッスン生の成長への手ごたえ。選手生活に加え本格的な指導役にも回ることで、自分の体の声を聞いたり、汗を流してリフレッシュしたり、運動が心に働きかける大切さを広めたいと強く考えるようになったのだ。

「今は子どもへの指導も充実させています。ただしアスリートを目指すというよりも、体づくりや運動の楽しさにふれてもらうことが目的です。その中で礼儀や作法を身につけ、目標達成の喜びを知るといった人間性も養ってほしいなって。ここで学んだことが社会に出たときに役立つとうれしいですよね」

樋口さんは生まれも育ちも麻生。このまちに住み続ける理由を「いいところだし、何となく」と笑う。けれど、地域のお祭りで自身が考案した〝麻生体操〞を披露したり、小学校でダンスの出張授業を行ったり、麻生に貢献する取り組みにも積極的だ。「ここ2~3年は母校の小学校で、運動会のお遊戯として〝麻生体操〞を教えることもあります。実は僕の子どもも通っているんですよ(笑)」と頬を緩める樋口さん。長年暮らしているまちを言葉で褒めるのは照れくさい。だけど、その表情が〝麻生LOVE〞を語っているようだった。

佐藤さんの仕事風景

ともにスタジオを支えてきた奥様と一緒に

スタジオヒグチ
スタジオヒグチ ロゴ
札幌市北区北38条西5丁目1-10
Tel.011-707-3007
http://www.studiohiguchi.com/
「お店を長く続けられる理由?お客さんに恵まれただけだよ。あとはかみさんが支えてくれたから」

焼鳥・もつ焼のお店 銀泉
佐藤 博延さん

師匠は雑誌の『きょうの料理』!?

麻生の五叉路を新琴似駅方面に歩くこと2、3分。長年雨風を忍んでいるであろう庇といい、年季の入った看板といい、昭和の面影を色濃く残した佇まいがグッとくる焼き鳥屋さん「銀泉」が見えてくる。

開店の約1時間前。ガラリと引き戸を開けると、精悍な顔つきの男性が大根を桂剥きしていた。この方が店主…ではなく、20年以上もこの厨房に立っている宮澤さん。「マスターはもう少ししたら来ますからちょっと待っててくださいね」と言い、また大根に視線を落とす。

しばらくすると「ごめん、ごめん。遅くなっちゃって」という声とともに現れたのが店主の佐藤博延さん。仕入れてきた食材を手早くしまい、さて、と取材陣のほうを振り返った。

佐藤さんが、このお店を開いたのは40年以上も前のこと。料理ひと筋ではなく、大学卒業後5年ほど会社勤めをしていたというから意外だ。

「親戚には〝商人〞がいないから、自分でお店を持つことに憧れていたんだよね。焼き鳥や料理のこしらえ方?大学時代にアルバイトで教わったくらい」

とはいえ連日どこからともなく人がつめかけ、にぎわっている繁盛店。おいしさの秘密がきっとあるはずだ。

「強いていうなら雑誌『きょうの料理』が僕の師匠(笑)。あれはスゴく参考になるんですよ。いまだに毎月買ってるもん」

佐藤さんはあっけらかんと話すが、モットーである「お客さんに出して恥ずかしくない味」を突き詰めるまでには相当の独学を重ねたに違いない。

佐藤さんの仕事風景

「メニューが多くて大変じゃないかって?だからって数を減らして楽しようなんて、大人の仕事じゃないでしょう(笑)」

この日のオススメメニュー「ふき味噌」

この日のオススメメニュー「ふき味噌」の仕込み中。味見をした取材陣は「お酒が欲しくなりますね」と声をそろえた。

セイム・ウォーク、セイム・ブレスの接客。

酒場といえば、店主の人柄もお店の人気を左右するポイントの一つ。佐藤さんの接客に対する心がけはどんなものなのだろう。

「僕はお客さんの話にあまりグイグイと入っていかないようにしてますね。近づきすぎず、離れすぎずって距離感

伝説のプロゴルファーとして知られるリー・トレビノの名言を引用して微笑んだ。知的でユーモラスな佐藤さんの人柄に惚れ込むファンが多いというのも納得。長くお店を続けられる秘訣を尋ねると、「お客さんに恵まれただけ。あとはウチのかみさんが支えてくれたから」と実に謙虚でますます好感を持ってしまう。

取材を終えて談笑を楽しんでいたところ、「麻生のマチも変わったね。昭和53年に地下鉄が入ってから、どんどん栄えてきて」と佐藤さんはかつてを振り返る。お店を始めたころは隣に銭湯があり、仕込みを終えてひと風呂浴びにいくと、ご近所の店主たちとよく顔を合わせていたのだとか。今はそんなこともなくなった、とつぶやいた時の表情は少しさびしそう。

「ま、あとは宮澤がこの店で食っていけるようになるまで、もう少しがんばってみるよ。もう腕は確かなんだけど、なぜか僕の体がまだまだ動いちゃうもんだから(笑)」

麻生のマチで40余年。「銀泉」の赤提灯はこの先も灯り続け、吞ん兵衛たちの憩いの場として受け継がれていくことだろう。

佐藤さんの仕事風景

佐藤さんの仕事の醍醐味は「人」。理路整然として顔色一つ変えずにお酒を飲む“イイ男”の所作を見るのが楽しみだとも。

焼鳥・もつ焼のお店 銀泉
札幌市北区麻生町5丁目
Tel.011-726-4681
営業時間/17:00~24:00
営業時間/日曜
「お客さんの満足する顔って、いつ見てもうれしいんだ。だから34年間ほぼ休んでないの(笑)」合鍵と靴・傘の修理の店 リペア 一林 正志さん

合鍵と靴・傘の修理の店 リペア
一林 正志さん

繊維問屋の営業職から、靴の修理職人へ。

シュー!ジジジッ!ダイエー麻生店の地下1階。 靴の修理を中心に合鍵や判子も手がける小さなお店「リペア」からグラインダーを操る音が聞こえてくる。作業場をのぞき込むと、奥で店主の一林正志さんがパンプスのヒールに真剣な眼差しを送っていた。

一林さんの出身は北見地方。40年以上前に札幌に来て、初めは繊維問屋に就職した。が、当時、繊維業界の景気は不調で、課されるノルマも労働環境も決して楽ではなかった。奥様と結ばれてから2年後、28歳の一林さんは転機を迎える。

「ウチのお店はもともと義兄が切り盛りしていたの。だけど、別な場所に出店するから引き継がないかと声をかけてもらってね。僕は三人兄弟の中で一番不器用でさ、プラモデルなんかも作ったことがなくて初めは不安だったなぁ…でも思い切って飛び込んでみて良かった。モノを〝ちょす〞って楽しくて自分の性分に合っている気がしますよ。それに何十万足修理しても、お客さんの満足した顔を見るのはいつだってうれしいものだね」

一林さんは3年間かけて義兄から靴の修理の基本を徹底的に仕込んでもらった。けれどグラインダーに素材を当てる角度を間違えて靴が吹っ飛んだり、ソールへの釘打ちを失敗して釘が曲がったり、当時はミスが尽きなかったと苦笑する。

靴のカカト補修風景

一林さんの仕事はとっても丁寧。カカトの補修一つとっても周囲と違和感がないように丹念に仕上げている。

30年以上使い込んだトンカチ

もともと一般的な柄の長さだったトンカチ。30年以上使い込むことでこんなに短くなったとか。取材陣もビックリ!

スキージャンプのメダリストもご来店!

31歳で独立して以来、一林さんはたった一人でお店に立ち続けてきた。しかも、34年間、1年365日ほぼ休まずに働いているというから驚きだ。

「僕はお正月でも店を開けてますよ。一足一足自分が納得のいくまで手をかけた靴に対して、〝こんなにキレイになるの?〞とか言ってもらえるとうれしいし、親子二代で通ってくれてるような古い常連さんもいるし、お客さんが来たら…と思うとむしろ休んでるほうがソワソワしちゃうね。一度体を壊した時も入院を辞退したもの(笑)」

一林さんの頬がことさら緩む。お客さんが本当に好きなんだと伝わってくる。その笑顔を見たくてお店に通う人も数多いだろう。そんなエピソードを引き出そうと一番の思い出を尋ねたところ、予想外の答えに取材陣もビックリ。

「一つだけ自慢があるんです。スキージャンプのメダリストがシューズを持ってきてくれてね。バックルの締め付け具合の調整やカカトの補強を手がけました。え?何でかって?う~ん…前にもスキージャンプの選手が来たことがあるから、横のつながりで聞いたのかなあ」

もはや直せない靴はないのでは…と思わず口をついたが、一林さんの仕事の流儀は「修理してもすぐ壊れそうなものは丁重にお断りするの。靴は履いてもらってナンボ。価値のない修理は修理じゃないから、お金を受け取れないよ」と誠実そのもの。長く商売を続けられるのもうなずける。

もっと話を聞きたいけれど、最後に麻生の好きなところを尋ねて取材を終えた。

「麻生を見守るお地蔵さんって知ってる?あちこちに移動する不思議なお地蔵さんなんだけど、通勤中に手を合わせる母娘や記念写真を撮る若者をよく見かけてね。マチの人が大切にしているお地蔵さんって何だかほっこりしていいよねぇ」

靴を修理する一林さん

最近は靴にもいろんな素材を使ったものが出てきてさ。この年になっても、日々勉強なんだよね

合鍵と靴・傘の修理の店
リペア
札幌市北区北39条西4丁目
ダイエー麻生店地下1F
Tel.011-709-2123
営業時間/10:00~21:00
熱烈! 麻生応援ウーマン 麻生のあったかさに惚れ込み、子育て支援とまちづくり!

熱烈! 麻生応援ウーマン
喜多 洋子さん

PROFILE

平成7年に子育て支援を行う「子育て支援ワーカーズプチトマト」を設立。平成21年には三世代交流ひろば「cafe亜麻人」をあさぶ商店街の協力でオープン。平成23年、まちづくりを手伝う団体「かどまーる」を設立。同年、藤女子大学生と連携したコミュニティカフェ「りあん」をあさぶ商店街振興組合と開設。あさぶ亜麻保存会事務局長の肩書きを持つほか「あさぶおすそわけマーケット」など人気イベントにも携わる。

りあん・ワンデイシェフと喜多さん

藤女子大学の学生ほか、地域の人がワンデイシェフとして「りあん」の厨房に立つことも。

麻生のあったかさに惚れ込み、子育て支援とまちづくり!

まちづくり事業のお手伝いを中心に、ある時は市民活動の相談員、またある時はカフェのコーディネーター。多彩な活動に奔走する喜多洋子さんが一番のウエイトを置くマチがここ麻生です。「麻生との最初の接点は、平成7年に子育て支援団体を仲間と立ち上げた時。このマチを選んだのは…みんなが集まりやすかったから。当初はまちづくりというより、子育て中のお母さんを支えたいという想いのほうが強かったかな」

ある日、喜多さんが麻生に思いを寄せるきっかけが訪れます。麻生まちづくりセンターとともにイベントを開いてほしいと頼まれたのだそうです。「そのイベントの開催から様々な行事に参加するようになりました。麻生の人はマチへの感度が高く、ボランティアスタッフが100人集まることもあってびっくり。協力し合う風土が根づいているんだなって、心があたたまったことを覚えています」

以来、喜多さんはあさぶ商店街や町内会との絆を深め、マチとの距離をぐんぐん縮めました。麻生から何かを発信したいと、まちづくりを専攻する大学の先生を呼んで勉強会を開いたといいます。

「子育てしやすい地域はみんなが暮らしやすい地域です。子育て支援に20年関わってきて、暮らしやすい地域をつくるにはまちづくりかなって思いました。」

喜多さんは昨年夏に初開催された「あさぶおすそわけマーケット」の仕掛け人の一人。麻生を中心とする周辺地域の野菜やフード、手づくり品がズラリとそろい、子どもからお年寄りまで多くの人が詰めかける大盛況ぶりでした。麻生がにぎわい、さらに石狩や厚田との結びつきも強まったことで、マチの活性化に役立ったイベント。開催を熱望する数多の声が集まり、今年も7月・9月・10月の3回を予定しています。

おすそわけマーケットの様子

昨年大盛況だった麻生おすそわけマーケット。今年も開催します。

亜麻の実をねりこんだ“亜麻そば”

かつて麻生には亜麻工場があったんです。亜麻の実をねりこんだ“亜麻そば”も販売しています。

ところで...喜多さんは麻生に住んでいるの?

「実は違うんです。でも、ある意味よそ者の私を受け入れてくれる度量の深さも麻生の気質。まちづくりの提案に“やってみよう!”とあさぶ商店街や町内会の方が協力してくれたりすると、本当にありがたい」

人なつこくて愛らしい喜多さんの笑顔。なるほど、皆さんが協力したり、相談を持ちかけるのもうなずけます。

りあんの内装

ひとり親の子どもに学習支援を行っている「りあん」。子ども達に栄養バランスのとれた食事とみんなで食べる楽しさも提供しています。

[撮影協力]
麻生キッチンりあん
札幌市北区麻生町5丁目1-3
麻生ビル1階
Tel.011-707-1795
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別冊麻生ナビ マチ歩きブック歩らいぶ

2015年7月に発行したフリーペーパー、「別冊麻生ナビ マチ歩きブック歩らいぶ」。その一部を麻生ナビWebサイトでご紹介しています。麻生に関わる人達のインタビューをはじめ、麻生から新琴似にかけ、実際に歩いて見つけた気になるスポットを紹介する「とことこマップ」など、「麻生」にまつわる情報が満載です。

※フリーペーパーの配布は終了致しました。ご了承下さい。

別冊麻生ナビ マチ歩きブック歩らいぶ 表紙

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